保育と療育の違いは?(追記あり)

保育は聞いたことありますよね、では療育は?知らない人が多いのではないでしょうか。

両方経験した保育士がリアルな保育と療育の違いを語ります。

※2018/6/9に書いた記事です。

コメント頂き2019/1/3に内容追記しました。

保育とは(追記あり)

保育は養護と教育でなりたっています。違いは…

養護とは

子どもの生命の保持及び情緒の安定を図るために保育士等が行う援助や関わり

教育とは

子どもが健やかに成長し、その活動がより豊かに展開されるための発達の援助

以上保育所保育指針からの引用です。命&心を育み、発達を促すのが保育です。

追記。

具体的には、「保育園・保育所」で全国共通の「保育所保育指針」と各園によって違う「保育理念」に合わせて学年別で「〇歳児保育計画」なんてのを毎月立てて保育してます。

特別な支援が必要なお子さんに関しては別途その子についての計画書も提出しています。

※養護と教育なら保育園も幼稚園も同じじゃない?ってことで、他にも様々理由もあり今は認定子ども園なんてのもあります。資格についてまだ制度が色々落ち着いてないのでここでは省きました。

療育とは(追記あり)

それに対して療育は医療と教育になります。

医療面のサポート
医師、看護師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、音楽療法士など医療面でのスペシャリスト達
教育面でのサポート
保育士や介護福祉士・指導員など現場のスペシャリスト達
色んなスペシャリストが協力して支援するのが療育になります。
追記。

具体的には、「療育施設」で「医師の指示」の元、その子の必要さに合わせて様々な医療系の専門家が定期的に医療面の支援を行い、更に保育士が医療面のサポートやアドバイスも生かした個別の支援計画を立てて日常生活に生かしていました。

私が働いていた施設では医療のサポートが「日常的に必要」な子には看護師が、「日常には必要ないけど定期的に必要」な子には保育士がついていました。

保育のメリットデメリット

保育のメリット

・複数の子ども達から刺激を受けながら成長できる。
・小さいうちから、継続的なサポートを受けられる。
・将来小学校まで続く地域の子とのつながりができる。
・親が仕事をしている場合、預かり時間が保証されている。

保育のデメリット

・周りの刺激が受け取れない子・負担な子にはストレスが大きい。

・行事が負担な子もいる。

・皆の中で育つため、個別に何かをしたい時に制限がある。

・職員が一般的な子についての専門知識はあっても、多様な子どもへの知識に対してバラツキがある。

療育のメリットデメリット

療育のメリット

・子どもに対して複数の視点が入り、困っている原因が見つけやすい

・個別・もしくは小集団で受けられるため負担が少ない。

・一人一人に合わせたプログラムで丁寧に関わって貰える。

療育のデメリット

・集団の規模が小さいため、ママ友つきあい含め合わないクラスだと辛い。

(特に親子同伴施設の場合)

・親が働いていると負担が大きい。

(フルタイムワーママさんは周りの協力が必須でした。)

保育士が感じた保育と療育の違い

環境の違い

最大の違いは誰のための環境なのか、ということでした。

  • 療育は子どものため
  • 保育は保育にかける子、つまり親のため

同じように見えても大きな違いがありました。

保育士として働く上で

  • 療育は医療的視点もある中でとことん深く子どもを知って関わる
  • 保育は一人一人のエネルギーを集団の中で育む

違いがありました。療育は子どもへのストレスが少ないから毎日できるようになる姿が見れたし、保育はストレスもある中で友達の力も借りて乗り越えていく姿も見え、どちらもやりがいはあります。

個人的には療育を経験し発達を丁寧に知り、保育も経験するとより色んな子どもに対応できる保育士になれるのかなって思いました。

保育から療育に移った人は「保育園で大変だと思ってた子は全然大変じゃなかった…」と驚いていました。

私が感じた療育(追記)

  • 「クララが立った!」(アルプスの少女ハイジ)
  • 「ウォーター!」(ヘレン・ケラー)

感動的な場面です。この震えるような感動を、療育では何度も感じられました。

生きてて良かった、生きてるってすごい!人間ってすごい!

何度も思いました。

何十人に1人、何万人に1人の子達が集まる場所です。

エネルギー・パワー・ものすごいです。

その思いが上手くハマった時に立ち会えるのは、とてもやりがいを感じます。

反面、

  • 「この子に私がしてあげられることは何一つないんじゃ…」
  • 「苦しんでるのが分かるのに何もできない、むしろ敵だと思われているのかも…」

悩むこともたくさんありました。

気持ちを伝えられなくて、私も気持ちをうまく受け止められなくて手が出てしまう子もいました。

こちらのアピールになんの反応もないことも。

私が今まで思ってた「常識」が通じない世界です。

でも、だからこそ向き合った結果、人間としても保育士としても成長できました。

私が感じた保育(追記)

一人では限界があるが、二人、三人と仲間がいる方が力を発揮できることがある。何より、その喜びや感動を数倍にすることができる(上田準二さん/元ファミリーマート社長・ファミチキ考案者)

仲間の中で育ち合う力、を感じられるのが保育でした。

0歳からお友達の影響で刺激し合って成長していく姿…可愛くそして感動です。

反面

  • その基盤となる集団に対してどうアプローチするか
  • 集団と個人との兼ね合いをどうするか
  • 様々な行事への企画や司会など

悩むこともありました。

どちらもやりがいも向き合うからこその悩みもあります。

その中身が少し違う感じで、どちらが良いかは人によって相性があります。

もし就職を考えてこのページを見ている方が居たら、どの施設でもボランティアや見学を受け付けていることが多いので一度聞いてみるのもありだと思います。

実際に実習やボランティアをしてから就職している人も何人か知っています。

悩むなら見てみる!せっかく就職して合わなかった…って辞めるリスクが減りますよ~。

保育と療育の誤解

どれかに決めたら一生そのまま、と誤解する人が居ますが、違います。

療育を終えて普通の保育園・幼稚園に行く子もいるし、保育の中で困り感が強くなり支援保育や療育になる子もいます。

保育と療育どちらが良いの?

保育と療育には違いがあります。だから、子どもの様子・親の都合両方合わせて決めるのが一番良いと思います。

ただ、療育入れる子が限られ低年齢のうちの方がサービスの種類が多いため、どちらかと言えば療育で子どもの困り感を知り、必要なくなれば支援保育や普通保育という選択もありかなと感じました。

これが全て同じ環境でできれば理想ですが…中々そこまでのサポートが充実してないのが現状です。

療育は認定がなくても受けられる?

特に障害の認定を受けていなくても必要と認められれば受けることができます。

オレンジ100さん(@ORANGE100e)はお子さんが発達障害の認定を受けていない状態で療育を受けています。

親目線が知りたい人はぜひみてみてくださいね。

オレンジ100さんのサイト→療育に通うことになったいきさつ~わが家の長女は定型発達だけど通っています~/だから語りたいフィギュアスケート

保育と療育の違いは?まとめ

正直私も働くまでよく分かってませんでした。

療育って大変そうだなぁ…って思っていたけど、療育ならではの世界にふれることで子どもを深く知るきっかけになりました。

自然と助け合える、保育の中で育まれる世界に感動したこともあります。

保育と療育の違い、なんとなくでも感じられたら嬉しいです。

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コメント

  1. ss より:

    療育って保育士がしてもいいのですか?
    医療と保育との間で療育…
    保育士がすると保育になる?

    • hinamogu より:

      ssさん、コメントありがとうございます。
      医療行為ではないので、療育は医師や看護師に限定しません。
      6歳以下の子ども対象の療育施設3箇所見ましたが、全て保育士資格での採用でした。
      (実際見たことはありませんが、介護福祉士や児童指導員(任用資格)も働けるようです。)

      私が働いた療育施設は「医師の指示」の元その子の必要さに合わせ様々な医療系の専門家が定期的に医療面の支援を行い、更にその支援を生かし保育士が細かい支援計画を立てて日常生活に生かしていました。

      保育は保育所保育指針とその園の保育理念を元に学年事の計画を立て、更に支援が必要なお子さんの個別対応計画を立てていました。
      似て見えるし資格も保育士が両方できるけど、それぞれ働いてみたら全然違いました。

      保育士・もしくは関連資格取得を目指している学生さんかな?と思いながらお返事させて頂いています。
      求める答えではなかったり、他にも気になることがあれば遠慮なく聞いてください^^